東京散歩No.023 江戸名称探勝『後楽園・小石川・上野』

【徳川光圀造園の小石川後楽園、徳川綱吉の別邸跡地で静養所のあった小石川植物園と上野の山とを結ぶコース。途中にはこんにゃくえんまの源覚寺や、伝法院などの古刹も多い。】所要:3.5時間
東京山手・下町散歩(昭文社刊)より

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今日の散歩は文京区を中心とした江戸の探訪です。飯田橋駅を出発して春日、本郷を経由して湯島まで歩きます。

メインは小石川後楽園、東京大学、湯島天神です。文京区って住みやすそうな落ち着いた町ですね。    (本当はあかひげ先生ゆかりの小石川植物園にも寄りたかったんですが、またの機会ということで)

飯田橋から小石川後楽園周辺

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地下鉄東西線で飯田橋へ行きました。ここはまだ千代田区ですがここから歩道橋を渡るとそこは文京区です。

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後ろを振り返るとJR飯田橋駅がガード上にあります。

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文京区側に渡るとすぐ警視庁遺失物センターがあります。

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さらに奥へ進み小石川運動場をぐるりと回ると日中友好会館があります。この中には美術館もあるようですが今日はパスします。

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さて、小石川後楽園の入り口が見えてきました。

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ふと足元を見るとパンダのタイルが。日中友好会館があるからでしょうか。

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小石川後楽園沿いの歩道には江戸時代の石をそのまま使った石垣が再現されています。

小石川後楽園


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入り口には案内板がたくさん立っていました。午前11時頃に入ったのですが、まだ人ではまばらでした。

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緑豊かな後楽園ですが、東京ドームがいやでも視界に入ってきます。周囲の騒音もかなり大きいですね。

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ちょうどボランティアのガイドさんが園内を案内してくれるというのでお世話になりました。説明を聞きながら回るととっても興味深くて面白いです。

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枝垂桜は春にはきれいに咲くそうです。右は一つ松といい、本家は広重の浮世絵に描かれているものだそうです。ここはそれを模倣した松です。このように池を川や海にみたてて日本各地の名所の模倣を池の周りに配しています。

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左は白糸の滝ですね。右はどこかの松原です。昔はうっそうと松が茂っていたそうですが、かなり減ってきているそうです。

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戦時中に近くに軍需工場ができて、この後楽園も工場の敷地に提供するよう圧力があったそうです。その難はまぬがれたということですが、軍需工場で作っていたモノが記念に置いてあります。(唐突ですよね)

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左は、唐門跡から内池方面を写したものですが、この辺が正門で、お客はここを通って園内を案内されたそうです。唐門跡から園内へは石畳の延段が続いています。

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池を一周したら今度は山の方を見て回ります。渡月橋から通天橋を眺めます。池には鯉がたくさんいるのですが、人が歩くとみんな寄ってきて口をパクパクします。

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通天橋は京都の東福寺の橋を模しているそうです。

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得仁堂の傍らにはスプリンクラーが設置されていました。

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円月橋です。水もに映るシルエットが美しいです。今は渡れません。

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かきつばた園にかかる八つ橋です。ガイドさんからあやめ、菖蒲、かきつばたの違いを教わりました。右は植生浄化水路です。普通は誰も来ないような裏手にあるのですが、ガイドさんお勧めのポイントです。

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クレソンを使用して水を浄化しているそうです。詳しくはクリックしてください。右は不老の水でつい近年まできれいな水が湧き出ていたそうですが、さすがにこれだけ大きな建物が周囲にできると水脈が変わって、今は水は出ていないそうです。

北野神社(牛天神)

小石川後楽園を出て税務署前を左折していくと「牛天神下」という交差点があります。ここを右折して少し住宅街を入り坂を上ると北の神社の入り口があります。(少しわかりにくいです)

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ここが入り口です。住宅街の片隅にあり分かりにくいです。かなり急な坂を上っていくと境内に着きます。

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天神様ですので当然菅原道真を祀っています。手前には狛犬もあるのですが、本殿の両脇には牛が鎮座しています。

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「牛天神」のいわれは文京区観光案内に載っていますが、実物を見るととてもユーモラスです。

傳通院


牛天神を出て、長い安藤坂を上っていくと春日通と交差しますが「伝通院前」という交差点で、そのまままっすぐ進むと正面が傳通院境内入り口です。

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特に大きな門があるわけではありませんが白い石垣がありこの一帯をおちついたものにしています。

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正面に本殿があります。立て替えたばかりという感じで真新しい感じです。地下はきれいなお手洗いがあります。

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本殿内です。傳通院は徳川家の菩提寺で女性たちのお墓があるそうです。

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ずいぶん立派な鐘があります。

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これは何なんでしょう。でもなんかこういうの見ると惹かれて写真とっちゃうんですよね。

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何故か指圧の碑があります。近くに国際指圧協会があるそうです。

沢蔵司稲荷~すずらん通り


傳通院から春日方面へ向かいます。淑徳学園、幸田露伴旧居跡の前を歩いていくとお稲荷さんがあります。慈眼院・沢蔵司(たくぞうす)稲荷です。

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すずらん通りへ下る善光寺坂の入り口あたりにあります。

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傳通院から慈眼院のあたりで散歩のグループと一緒になりました。天気のよい土曜でしたし、この辺は絶好の散歩コースですからね。

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くわしくはこちらのホームページにありますが、蕎麦好きの傳通院の修行僧にまつわるいわれがあるようですね。
慈眼院は傳通院の別当寺として建てらたということで大きなつながりがあるのですね

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坂を下ると善光寺があります。名前の通り長野の善光寺の分院ということです。けっこうあちこちにあるんですね。また、道路に面した塀には名前が彫りこんであります。寄進者の名前でしょうか。

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善光寺坂の先はすずらん通りです。このようなおとうふやさんがあるとほっとします。やはりこの辺は人々が住む街なんですね。

こんにゃくえんま

すずらん通りを抜けると千川通という大通りに出ます。もうすこし向こうには白山通があります。この辺は南北線(後楽園)、丸の内線(後楽園)、大江戸線(春日)、三田線(春日)と4つの地下鉄が集まっています。ずいぶん便利な街です。

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交差点の一角にこんにゃくえんま(源覚寺)の入り口があります。夏目漱石の「こころ」に出てくる「先生」は学生時代ここを通り抜けて通っていたそうです。

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参道突き当たりにえんま堂があります。

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閻魔の右目が割れて黄濁しているそうです。(見えませんでしたが)
どうしてそうなっているかはここを見てください。やさしい閻魔です。

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えんま堂に突き当たってふと左手を見ると大きなビルが境内に。よく見ると「源覚寺」と書いてあります。びっくりしました。

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同じ境内にお百度石があります。眼を患って熱心にお参りしていた老婆にあやかったのでしょうか。「白い石が百ヶあります。お百度参りの目安にお使いください。」と書いてあります。どのように石を使うのかわかりませんでした。

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参道の前の交差点は「こんにゃくえんま前」交差点です。牛天神といい傳通寺といいこんにゃくえんまといい、歴史が根付いています。

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コースはこの後、本郷、東大を抜けて湯島まで行くのですが、今日のところはここで中断して、また明日再開します。

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この日は、地下鉄春日駅から三田線に乗り神保町へ行きカーマのカレーを食べました。サブジはかぼちゃやインゲンなど野菜たっぷりで最高においしい。辛いのが苦手な人でもおいしいカレーを味わえます。

本郷の町並み


さて、翌日です。
門前仲町から大江戸線で春日まで戻り、散歩の再開。
まずは静かな本郷の住宅街を歩きます。

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菊坂下交差点から右折したところにある、アイス最中などで有名な甘味処、ゑちごやです。

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樋口一葉ゆかりの伊勢屋質店があります。 質屋を懇意にしていたとは厳しい生活をしていたのでしょうか。現在は看板は出ていないようですが、文京区の案内板が塀についています。また、この近くには一葉の旧居跡が井戸付きであるそうですが、それままた他のコースで。

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左手に曲がって梨木坂を登っていきます。  坂を上りきったあたりから振り返るとこんな感じです。

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坂を上ったつきあたりあたりに旅館「鳳明館」があります。明治時代の建物ということで風情があります。料金は 安めのビジネスホテル程度みたいですから、たたみでゆっくり寝たいという人はいいかもしれませんね。

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こちらは道路向かい側にある別館の玄関です。風格があります。歓迎看板の「三条工業高校レスリング部」とは新潟の三条の高校でしょうか。

東京大学構内


本郷の住宅街を抜けると本郷郵便局の脇から本郷通りに出ます。そこは東京大学の目の前です。右に行くと赤門ですが、今日は左に進み正門から入ります。

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東京大学正門

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東京大学は古い建物のオンパレードです。見る方としては実に味わい深くておもしろいのですが、ここに居る先生や学生達はどうなのでしょうか。中はそれなりに整備されているのでしょうか。以前、情報処理試験の受験で2回ほど教室に入ったことがあります。

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正門を入ってから本郷通り沿いに赤門方面に歩くと東屋風の建物が現れます。中では一人休憩している人がいました。今日は日曜です。学生ではないのではと思いました。 門には関係者以外立ち入り禁止と書いてありましたが、あきらかに散歩をしている私たちのような人々が大勢いました。

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構内中ほどにある池(噴水?)です。読書している学生風の人がいました

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法・文学部の一階はこのようなアーチ上の通路が突き抜けていました。風情があります。

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その傍らに「銀杏・メトロ 入り口」というプレートが。これは何なのかすっごく気になりました。知っている人いますか?(東大生なら知ってますよね) (ちなみに銀杏は東大のシンボルマークってどっかで聞いたような気がします)

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安田講堂。大正14年築ですから70年近く経つのですね。

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漱石の「三四郎」の舞台となった(私は読んだことないのですけど)三四郎池です。三四郎池の本名は写真をクリックしてください。

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構内には「東大」印の排水溝の蓋があります。

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化学棟を通り抜けるとそこは東大病院です。
一番奥には都バスの発着場「東大構内」があり、学01は上野駅から、学07は御茶ノ水駅からそれぞれ短い区間ですが東大病院の構内まで乗り入れています。

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竜岡門まで東大病院の建物が続きます。
建物は古そうですが、向こう側半分は古いレンガのイメージを真似た結構新しい建物です。また、この左手奥の方にモダンな入院棟がそびえています。

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左側半分の建物の上部にレリーフがありました。西洋医学の夜明けという感じですね。

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右側半分の建物(こちらは新しい建物)にもレリーフがありました。こちらは日本への西洋医学伝達をイメージしているようです。

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500mほど進むと竜岡門に出て、東大構内からお別れです。

無縁坂あたり

東京大学の竜岡門を出てすぐUターンのように東大の外塀沿いに歩いていくと文京区と台東区の境界に向かっていきます。


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東大の外塀です。ここは住居表示はすでに「湯島」となっています。

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「この先は無縁坂です」と足元に表示が。

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無縁坂の入り口付近に講安寺があります。とても古い建物があるということです。

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現在の無縁坂。この先を道なりに進むと不忍通りを横切って不忍池はすぐそこです。右側(南側)に緑が写っていますが、あちらは台東区池之端で、このあと寄る旧岩崎邸庭園です。

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「無縁坂」?そういえばさだまさしが歌っていたっけ(「ひまわりの歌」の主題歌)。というくらいしか知らなかったのですが、森鴎外の「雁」に主人公の散歩道として登場するそうですね。

旧岩崎邸庭園
 無縁坂を下るときに右手にあった小高い丘は「都立旧岩崎邸庭園」でした。

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こんなところにこんな立派な庭園があるとは知りませんでした。さっそく入ってみます。

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門をくぐるとだらだらと坂道を登っていきます。けっこう訪れている人は多かったです。

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明治29年に建築された洋館です。岩崎さんという方は旧三菱財閥の創始者ということです。この近くには、寄りませんでしたが三菱史料館という建物もあるようですので、ゆかりの地なのですね。

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「撞球室」です。撞球ってわかりますか?私は初めて聞いた言葉でした。ビリヤードのことだそうです。中は見ることができませんでしたが、洋館から地下道でつながっているそうです。

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撞球室を横から見たところです。ログハウス風の建物です。

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洋館は改修中で中に入ることはできませんでした。撞球室と洋館は2003年4月に一般公開されるそうです。

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洋館の裏には広大な芝の庭が広がっています。また、和館も芝庭を望めるように建てられています。

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和館は公開されていて中に入ることができました。

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書院造りとなっていてとても広い室内です。

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「三菱を偲ばせる」欄間

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「三菱を偲ばせる」襖の取っ手(っていうのかな?)

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「三菱を偲ばせる」鴨居の釘隠し

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ゆっくりと庭を望める「縁側」。すぐ手前は日本庭園、その奥には広大な芝庭が広がります。

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改めて洋館を見ると手前の南国風の木と相まってエキゾチックです。一度中を見てみたいものです。

湯島天神


本コース最後はいよいよ湯島天神です。天神様ってあちこちにありますが、東京で合格祈願といったらやっぱり湯島天神でしょう。(実はこの日は合格祈願も兼ねていたりして)

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湯島天神へは神田明神方面からが参道になるようですが、上野側からは「女坂」を登るのが一番近いルートです。旧岩崎邸庭園のある池之端から切通坂を横切って(実際は信号まで迂回しないとわたれませんが)小路を進むとすぐに女坂入り口の案内があります。

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女坂入り口を右折してさらに小路を入ると正面の丘の上に湯島天神が見えてきましたね。

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坂の上り口には易をやっている人がいます。女性が見てもらっていました。

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女坂はとてもゆるやかです。だから女坂なんでしょうね。

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図で言うと右手奥から女坂を登ってくると赤い「現在地」というところに出るのですが、すでにそこは鳥居の内側で境内に直結です。

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本殿。しっかりお願いしてきました。

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本殿のすぐ前に獅子がおみくじを引いてくれるという、からくりおみくじ販売機があります。

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帰りは男坂を降ります。上から見ると結構急です。女坂と対をなすいいネーミングですね。

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下から見ても結構急なのがわかります。

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これで今回の散歩は終了です。余裕があれば不忍池を通って上野駅までいくと完璧ですね。
私たちは疲れたので、湯島駅交差点角の甘味処「つる瀬」に寄りました。「南禅豆腐」というメニューが気になりましたが、疲れた体に糖分補給ということで定番のクリームあんみつをいただきました。小倉アイスもおいしかったです。

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