パッション

メル・ギブソンが監督した映画『パッション』を見た。キリストが捕らえられてから十字架の刑に処せられ、そして復活するまでを克明に映像化した作品だ。
最近映画と言えばハリポタとかロードオブザリングとかしか見ていなかったので、久しぶりに特撮でない映画を見たという感じだ。
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「パッション」とは一般的には情熱という意味があるが、辞書で調べたところ、キリストの受難を表す意味もあるらしい。この映画の原題は”The Passion of the Christ”だから「受難」と訳すのが一番適当かもしれない。
事前に新聞などから得ていた情報では、そのあまりな残酷なシーンゆえにR指定を受けていることが強調されて紹介されていた。実際に見てみると確かに目を背けたくなるほど残酷な映像だ。十字架にはりつけられる際に手のひらに釘が打ち付けられるシーンはもちろんだが、捕らえられてから息をひきとるまで絶え間なく鞭打たれていて、皮膚はぱっくりと口を開けているし、目はほとんどつぶれている。体中が真っ赤になっていて、人間はこれでも死なないのかというくらいだ。
しかし、つたないキリストに関する知識をもとにであるが、かなり聖書の記述を忠実に再現しているように思えた。ゲッセマネの園で悲嘆にくれるキリスト、そして寝てしまった使徒たち。30枚の銀貨のためにキリストを裏切って最後には自殺してしまうユダ。「3度私を知らないと言う」とキリストに言われそのとおりになるペテロ。キリストに助けられたマグダラのマリア。などなど数々のエピソードが挿入されている。そして、倒れながらも十字架を引きずってゴルゴダの丘に歩いていき、磔にされて、息をひきとる。ラストはパリサイ人の祭殿が天変地異で壊れ、3日後に復活するというところまで描かれるのだ。
キリスト教はこの受難のあとのキリストの復活が一番重要だと聞いたことがある。それゆえ残酷なシーンの続く受難のストーリーの最後が復活で締めくくられるところにこの映画の意味があるのだと思った。

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