毎年、クリスマスの時期になるとちまたでクリスマス音楽を耳にするようになる。
クリスマス音楽ってみんな何かあたたかい雰囲気を持っているけど、あれってどうしてなんだろうと聴くたびに思う。ただ単に季節的なすり込みでそれらの音楽を聴くと「クリスマス」というイメージがふくらんでしまうのか、それとも音楽それ自体にクリスマス特有の「何か」が備わっているのだろうか。
キリストの誕生を祝福するというクリスマスというのは、たぶん(自分も含めて)多くの日本人にとっては季節的行事のひとつにしか過ぎないのだろうけど、それにしても「心温まる」、「楽しい」、時に「厳粛な気持ちになる」クリスマス音楽は(特にこの時期)聴いていて心地よいものだ。
私のクリスマス音楽の定番はシンガーズ・アンリミテッドの「Christmas」だ。
学生の頃からだからもう30年にもなる。当時はLPを買って聴いていた。その後CDを買って聴いているがまだLPもたぶん実家に残っているはずだ。
シンガーズ・アンリミテッドはジャズに分類されるアカペラのグループだけど、このアルバムではハーモニーこそ複雑でジャズっぽいものの、全体的には宗教音楽という色合いを強く出している。「きよしこの夜」「もろびとこぞりて」など有名な曲も入っているが、ほとんどが一般の「クリスマス音楽」としてはそう頻繁に取り上げられることのない曲が中心だ。
それにしても、多重録音で紡ぎ出されるコーラスの響きは何回聴いてもどこか厳粛にさせてくれるものの、聴いている内にあたたかい気持ちになってくる。一見冷たいような機械的な響きにも聞こえるのだが、聴いている内ににじみ出てくる暖かさは、ストレートにそれらを表現したものよりも心に染み入るようだ。
いつ聴いてもいいのだが、やはりこの季節になると聴きたくなってくる珠玉の一枚だ。
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