映画『宮廷画家ゴヤは見た』

「カッコーの巣の上で」「アマデウス」ですばらしい映画を作ってくれたミロス・フォアマンの最新作です。原題は"GOYA’S GHOST"なのですが、邦題は「宮廷画家ゴヤは見た」です。まるで「家政婦は見た」のノリですね(笑)

・公式サイト
http://www.goya-mita.com/

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この映画の時代背景は18世紀スペイン、カトリック教会の異端審問が権力を持っていた時代です。異端審問を執行する側の神父とユダヤ教だと嫌疑をかけられ拷問で告白させられ監禁された商人の娘との関係を軸に、二人の肖像画を描いたゴヤの目を通して時代を見つめていく物語です。

「アマデウス」以来のフォアマンの作品だったので、期待して見たのですが、どうもダイレクトに気持ちに訴えるところがなかったですね。

異端審問に見られる、権力側の体制保持の醜さ。ナポレオンのスペイン侵略に見られる「自由」という名を借りた新たな権力の台頭。それらを画家ゴヤの目を通して客観的に描き出していく表現はすばらしいものでした。見にくい場面のリアルすぎるくらいの映像はミロス・フォアマンならではの表現でしょう。

だけど、「だから何」という部分がダイレクトには伝わってこなかったのです。チェコスロバキアで生まれ、その混乱を目の当たりに見てきたフォアマンは、その頃の体験と18世紀のスペインの状況を重ね合わせたということです。それはそれでわかりますけど、妙に神父と娘の愛、みたいなところに焦点を当て、ラストもそこに落ち着いているところが腑に落ちませんでした。

この娘役の女優はナタリー・ポートマンでスター・ウォーズのエピソード1から登場するアミダラ姫役で有名です。

まあ、今ひとつ伝わるところがなかったのですが、時間をおいて再度見てみるとまた違う印象になるのかもしれません。少なくとも映像はミロス・フォアマンらしくすばらしく雰囲気が出ていますし、一時18世紀のスペインに浸ることが出来ました。

コメント

  1. まるこ より:

    アマデウスと言ったら、確か私がそりゃぁもうかわいらしい音大生のときに観た映画なんですけどーっ![E:coldsweats02]それ以来の作品なんですか?!ず~っと心の中で温めていた題材なんでしょうか・・・。

    最近映画もご無沙汰しちゃってて・・・すごく心にどっしりくるような、椅子から立ち上がれなくなってしまうくらい何かを感じる映画を観たいと思うのですが、ほんとにそうなってしまう自分の気持ちを受け止めるキャパがなくて観れない・・・という感じ、わかってもらえますか?うまく言えないんですけれど・・・笑。心にゆとりがないっていうことですね~[E:bearing]

  2. ブライアン より:

    まるこさん、コメントありがとう。

    「アマデウス」以降、何本か作っているようなんですが、一応話題の映画ということで久しぶりに期待していたんです。

    映画も本当に娯楽と割り切って軽く見るのもいいですよ。ちなみに私は毎年恒例で「釣りバカ日誌」を今月は見に行く予定です。これは「男はつらいよ」の頃から20年来の年中行事です[E:coldsweats01]