映画『昭和八十四年』

2009年=昭和八十四年、この映画は、想像を絶する戦中、戦後を生き抜いている86歳の証言を軸に構成しているドキュメンタリー映画です。

20090907_sugamo01

戦時中ニューギニアでの現地住民の殺害、BC級戦犯としての巣鴨プリズンでの生活、その後手に入れた幸せの中で授かった息子に降りかかったサリドマイド問題の掘り起こし。淡々と語られるその内容のなんと重いことでしょう。86歳にしてまだまだ戦っています。

戦争に関しては、そこに至った経緯や、責任問題、天皇の関わり、現地住民の殺害などさまざまな論点がありますが、この映画の主人公飯田進さんは、自分が見たもの、行ったこと、降りかかったことについて、自分なりにずっと考え行動しているようです。住民を殺したという事実もそうですし、ニューギニアで餓死していったたくさんの同僚達、戦後内地に帰ってきたときの瓦礫の山、裁判でのBC級戦犯認定、巣鴨プリズン留置。それら自分の体験してきたことに対して自分なりに考え、その後の人生を懸命に生きてこられたんですね。

そういう生き様を見ると、口先だけで戦争問題を語るのが恥ずかしくなってきます。

サリドマイド問題への関わりもそういう延長でやってこられたのでしょう。

この映画はそんな一人の人間の生き様を証言を通して描いています。

20090907_sugamo02

この映画の上映館は渋谷の「アップリンク X」というところです。「日本一小さな映画館」とうたっていますが本当にこじんまりとしていて、スクリーンも横幅3mくらいで、実際上映は天井についているプロジェクターで行っていました。スピーカーはむき出し。床にならべられた様々な椅子はすてきです。普通の椅子もあれば、私が座ったやつみたいにゆったりと身体を包み込むようなソファーの様な椅子もあります。

この映画館で上映しているのはもちろんメジャーな作品ではなくマイナー作品が中心。今回のようなドキュメンタリーが多いようですが、「THE ダイエット」などおもしろそうなものもやっているようです。

コメント