「パール判事」

中島岳志著「パール判事」を読みました。

東京裁判の連合国側選出の判事の一人としてインドから参加したパール判事の生涯と、東京裁判における「パール判決書」について、パール自身の言葉や行動を元に解説した内容となっています。

以前NHKの特番で「東京裁判」というのをやっていたのを見たことがあります。再現ドラマ風に東京裁判を追っていく番組でしたが、そこで初めてパール判事という存在を知りました。うろ覚えですが、連合国判事たちがA級戦犯に人道に対する罪があると裁くことに異議を唱え退出した、というふうなイメージでした。

この本を読んで、大筋では間違っていなかったものの、パール判事が真に訴えたかった事柄を知ることができました。それは、連合国は後付けの法により人道的な罪を日本に下すことはできない。国際法の範疇ではない。日本には連合国達と同じような帝国主義のふるまいをした過ちはあるが、連合国の行動もそれは同様である。戦勝国が敗戦国を裁くのは暴力で抑えることである。ということでした。

その上で著者の中島さんが伝えたかったのは、日本が行ったことは過ちであり、それを無視して日本が行った戦争を正当化することは断じて許してはいけない、ということだと思いました。

改めて、原爆をはじめとした無差別大量市民殺人を行ったアメリカに裁く権利はないなあと思いつつ、暴力に訴えることの愚かさを感じました。

翻って現在の状況、とりわけウクライナ問題、イスラエル問題は、それぞれの国の歴史に大きくかかわっており、「正義」を考えると両方にあるのではないでしょうか。アメリカのオバマやバイデン大統領はこれらの争いを誘発させた罪があるはずです。

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