『コンピュータトレーディング入門』

最近この手のシステムトレード関連の書籍が、日本人の執筆者で出ることが多くなってきた。数年前に何冊かのパンローリングの翻訳本しかなかった頃を思うと隔世の感がある。

この本はツールとしてはトレードステーションを対象に書かれてはいるのですが、システムトレードの構築の仕方・考え方を網羅しているので、Excelだけでシステムを組んでいるような人にも十分役に立つ内容が含まれている。

著者は最近よく名前を見かける方だが、マネックストレーダーの導入に関わっていた方のようだ。本の中でトレードステーションの画面が載っていたが、そこに見えるストラテジーの名前に見覚えのあるニックネーム名があったので、「高橋さんてあの人だったのか」と勝手に思ってしまった。

内容としては初心者用にシステムトレードの優位性を説くところから始まって、トレードステーションの操作方法、ルール化、検証方法と一通り説明してある。この辺は経験者には物足りないと思うが、後半の内容は結構面白かった。特にシステムの評価方法の項目としてシステムが機能しなくなることの判断をどのようにルール化するかという話が出てくる。

システムが機能しなくなったことの判断に資産曲線の最大ドローダウンや停滞期間を使うのは一般的だと思うが、この本ではそれにプラスして最大ドローダウンの発生確率をモンテカルロシミュレーションを使って求めているのが斬新だ。

また、面白い話題としては第三者が開発したシステムを買うべきかどうかという話がのっている。いわゆる「商材」というものが氾濫しているが、それらも含めて販売されているシステムトレードについて形態を分類し、注意すべき点をまとめているのが興味深い。

ひとつひとつの項目としてはもっと掘り下げたものが翻訳物でたくさん出ているが、初心者~中級者レベル向けに網羅的に説明されたシステムトレードものとしてはよくできていると思う。

コメント

  1. こんにちは、サルサで猿さです。

     本のご紹介をして頂き、ありがとうございました。

     ブライアンさんとは、以前どこかの掲示板でお話をした記憶がありますが、いかがでしょうか?

     はじめはネタ帳として溜めていたものが、出版という形で世に出す事ができたので、感慨深いです。

  2. ブライアン より:

    サルサで猿ささん、コメントありがとうございます。失礼ながら最初はあまり期待しないで読み始めたのですが、後半さまざまな応用的話題が取り上げられていたので読み応えがありました。本を書くって大変ですよね。
    以前、中山さんの掲示板でお名前はよく拝見させていただきました。(直接議論したかどうかは覚えていないのですが)
    これからもよろしくお願いします。

  3. なす より:

    どうもです~早速読まれましたか!
    実はチェックはしていたものの,前作がアレなもので購入には抵抗を感じておりました・・・
    ブライアンさんお勧めなら安心して買えますね(笑)
    モンテカルロでMDD発生を仮定するあたり興味深いですし。
    また色々お話させてください~では!

  4. ブライアン より:

    なすさん、どうも。お別れしてからもうずいぶんと経ったような気がするのですがまだ1週間経ってないのですね。(笑)
    この本は自分の知識をおさらいする意味でもよくまとまっていると思います。書店で手にとって確認してみてください。