ふぁみりあで開催された「国井雅比古文化講演会」を聴きに行きました。
國井さんは元NHKアナウンサー。プロジェクトXの司会をやっていらした方と言えば思い出す人も多いのではないでしょうか。
会場はふぁみりあ3階の小運動場。満席になりました。
「NHKに入ったのは、志など何もありませんでした。食うためでした。」
本日のお話は「文化講演会なんて、そんな高尚なことは話せません」とおっしゃっていましたが、NHKに入ってアナウンサーになるまでの顛末とその後のアナウンサー人生をエピソードを交えながら振り返るという形で進みました。
まずはNHKに入ったことについて。今の奥様とは学生結婚されたそうです。学生の時は高層ビルの工事現場でボルトを打つというようなバイトで生活費を得ていたとのこと。
就職は「食うため」にNHKに入ったとのご本人の弁ですが、やはり何かしら思うところはおありだったのではないかと想像します。東京大学卒業ですしね。入社式では答辞を読まれたということです。
最初の勤務地は富山。魚や米など、食べ物がおいしかったということですが、初任給7万円程のうち賃貸代が2万円という苦しい生活だったそうです。たまたま入ったパチンコで大金を手に入れたので、奥様と立山に登ったというエピソードを楽しそうに話されました。
次が旭川、その後東京に戻られたとのことです。
日曜美術館の担当になるときに、スタッフからいつも怖い顔で話すアナウンサーなどだめだと断られたそうですが、アナウンサー室の責任者はそれでも國井さんを推されたということですから、何か人間性のような魅力をお持ちだったんでしょうね。
その後、ぐるっと海道3万キロ、プロジェクトX、小さな旅などで活躍されました。
心に残ったエピソード
いくつか心に残るエピソードやお話がありました。
心に残っていれば必ず現実のものにできる
ラジオの「暮らしのカレンダー」という番組を担当していた時に、電話インタビューで只見町の星さんという女性の方が素敵な方で印象に残ったそうです。50年経ってから縁あってご本人とお会いできたことを話され、「心に残っていれば必ず現実のものになるんですよ。」としみじみとおっしゃっていました。
全国を旅して「おいしいもの楽しめていいですね」なんてとんでもない
「小さな旅」などで全国を巡ったけど、撮影の裏側は大変で、食事はたいていコンビニのおにぎりだったそうです。しかし、利尻島に行ったとき、下山後、海岸で焚火で焼いたウニを地元の人からいただいたことだけは特別、と嬉しそうでした。
くよくよしてもしょうがない
ご自身の健康のことに触れられ、心臓の緊急手術を行ったこと、胃がんの摘出手術を行ったことなどを詳しく話されました。
胃がんが見つかったことは悔しいけど、おかげで娘さんとじっくり話す機会ができてとてもうれしかったという言葉が印象的。
過去を悔いても、将来を心配してもしょうがない。「今を生きているということは素晴らしいことですよ。今を一生懸命、楽しく生きるようにしましょう。」私も本当にそう思います。
すぐやる
一番最後に質問に答えられる形で言っていられました。
「思いついたらすぐやることです。」
私のモットーは『すぐやる』です!後まで伸ばしてもしょうがないですよね。やらなければ何も始まりません。
全体を通して、國井さんはかなり謙遜してご自分の経験をお話されていましたが、その話の節々からお人柄や人との信頼感があるからこそなんだろうなあと、ずっと感じながら話をお聴きしました。
この素晴らしい講演を企画・実行されたすべての方々に感謝します。
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