押尾コータローが毎年行っている全国コンサートツアーの初日にあたる大阪公演を聴きに行ってきました。
このツアーを聴くのは今年で3年目になります。去年もツアー初日の大阪公演でした。NHK大阪ホールは大阪城が近くに望める高台にあり、ホールへ入場する長いエスカレーターからよく見えます。わざわざ大阪へ出向くのはそこが彼のふるさとであるからです。(あと、コンサートにかこつけて京都や大阪・奈良などを旅行するのが楽しいから)
押尾コータローの演奏を聴き始めて6年目になりますが、彼の演奏やコンサート内容も年とともに変化してきています。まず、デビュー間もない頃は「ボレロ」に代表されるようなアレンジもの(カバーもの)が半分を占めていたのですが、最近リリースされる演奏は一部例外を除いて彼のオリジナル曲が占めています。私個人としてはアレンジものに魅力を感じるので少し寂しい感じがしますが、それが彼のアーティストとしての発露である以上しかたのないことだと思っています。
コンサート内容の変化ですが、以前は定番だったいわゆる「お遊びコーナー」がなくなりました。「こんなこともできるんやで~」みたいな小技連発の楽しいコーナーだったのですが、悪く言えば品がないともいえましたけどね。その代わりに「アコースティックコーナー」が定着したようです。このコーナーは「アンプラグド」な純粋なアコースティックギターで演奏するコーナーです。通常はピックアップマイクで拾った響きをアンプでリバーブなどの処理を施して出力するのですが、生のギターから出た音を通常のマイクで拾い拡声して出力します。よりシンプルな素朴な演奏になります。
コンサート全体としては、前半にじっくり聴かせ、後半はノリノリにのせるという構成。演奏は格段に質が上がっているという感じで、以前のような荒っぽさやチューニングの乱れはほとんどなく、「ハードレイン」のような激しい曲でも破綻のない圧倒的な演奏で聴かせてくれます。
私にとって彼のコンサートは苦手な部分がありました。それは「ノリノリにのせる」という雰囲気で観客も立ち上がって手拍子したりということが長時間に渡っていたのです。、それはそれで盛り上がっていいのですが、どちらかというとじっくりと演奏を聴きたいという思いなので手拍子したり立ち上がったりという行為は50を過ぎた私には演奏に集中できなくなる行為なのです。
そんなことで今年はどうかなあという気持ちで行ったのですが、それは杞憂に終わりました。たしかに手拍子やスタンディングはあるのですが、押尾コータロー自身が「座りたい人は座っていいですよ」と何回か気遣いの呼びかけをしてくれて、何割かの人たちがそれでいすに座って聴く姿にもどったのです。彼も40になったというし、大人になったのかなあ。客席を見渡すと若い(と思われる)女性が多いのですが、私のようなおじさんやおばさんも多いので、そういう声が多かったのかもしれないですね。いずれにしてもじっくり聴きたい派の私としてはすごく助かりました。
演奏曲は今年のニューアルバム「Nature Spirit」からが多くを占めていましたが、「ハードレイン」「オアシス」など以前の曲もちりばめながら飽きさせずに一気に弾ききりました。一皮むけたという感じの押尾コータローでした。
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