シエナ・ウインド・オーケストラのブラスセクションのメンバーで活動しているシエナ・ドリーム・ブラスのコンサートを聴いてきた。『元気と勇気をお届けします』というふれこみだ。
このコンサートは関東各地の地域のコンサートホールを舞台に多くの人にクラシック音楽を楽しんで貰おうという企画で開催されている。都内でも開催されるのだが、今回はあえて大船まで足を運んだ。舞台は鎌倉芸術館だ。大船駅からまっすぐ延びる道路の突き当たりに位置し、かつての松竹大船撮影所があったところだ。館内に入ると竹をあしらった中庭があり雰囲気を醸し出している。
第1部は踊りにちなんだ曲が集められた。ブラスアンサンブルなのだが、ゲストにはパーカッショニスト池上英樹が加わって色を添えていた。彼のマリンバはとても繊細な音を操り聴衆を引き込んでいた。また、特に「ガイーヌ」でその表現力を見せつけてくれた。
ガイーヌと言えばなんか懐かしかったなあ。中学校の頃剣の舞やバラの乙女達の踊りをクラブ活動で演奏したことが思い出された。特にバラの乙女達の踊りはその後そんなに聴く機会がなかったのでなおさらだ。またレスギンカは録音で聴くことはあっても生で聴いたのは始めてのような気がする。それにしてもこの曲をよくブラスアンサンブルで演奏したものだ。池上さんのドラムもすごかったけど、この曲を難なく演奏したブラスメンバーのテクニックはやはり並外れている。
この写真は休憩中のステージを撮影したもの。ステージ後方にマリンバが置かれている。ブラスアンサンブルでマリンバというのはあまりないと思うがなかなか合っていたと思う。
また写真ではよく分からないがステージ前方にテーブルが置かれ、上にタイプライターがある。これは第2部で演奏するルロイ・アンダーソンメドレーで使われる小道具だ。タイプライター(タイプライター)の他にも紙ヤスリ(サンドペーパーバレエ)やウッドブロック(シンコペーテッドクロック)などが置かれている。
第2部はおふざけが満載だった。まずルロイアンダーソンメドレーの『ラッパ吹きの休日』ではメンバーが譜面代に「休暇中」などの張り紙を出してそれぞれ編み物を始めたり新聞を読み始めたりと「休日モード」に入っていくという趣向だった。また、『男はつらいよ』ではトロンボーンのメンバーが寅さんのかっこうをしてソロをとったり。個人的にはなにもそこまでやらなくてもという気持ちがするが、まあ演奏はすごくうまいので許そう。
アンコールではシエナのおきまりの『星条旗よ永遠なれ』のミニ版みたいなかんじをやった。ステージからは数人の楽器をもった元気な観客が上がり一緒に演奏した。
一般的なブラスアンサンブルは4~5人のことが多いけど、今回は10人という編成(ペット4、ホルン1、ボーン4、チューバ1)だった。これだけで一段と曲の表情に幅が出るものだ。その見事なテクニックのせいで純粋に音楽を楽しめた演奏になっていたと思う。
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