舘野泉コンサート

見附市のアルカディアホールで舘野泉さんのコンサートを聴いてきた。

コンサートは2部に分かれており、第1部は舘野さんの息子さんのヤンネ舘野さん率いるアルカディア・フレンズ・アンサンブルの演奏でヴィヴァルディの「四季」。第2部は舘野さんの独奏とピアノ協奏曲。

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ピアノ:舘野泉
ヴァイオリン:ヤンネ舘野
指揮:舘野英司
アルカディア・フレンズ・アンサンブル
(特別出演)
チェンバロ:岡田隆之介
ヴァイオリン:亀井傭州
バンドネオン:北村聡
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ヴィヴァルディ:四季
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スクリャービン:前奏曲と夜想曲 Op.9
月足さおり:風の彩
光永浩一郎:サムライ(舘野泉に捧ぐ)
山田耕筰(梶谷修編曲):赤とんぼ
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パブロ・エスカンデ:左手のためのピアノ協奏曲 アンティポダス
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(アンコール)
ピアソラ:オブリビオン(バンドネオン独奏)
月足さおり:なみだ(ピアノ独奏)
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四季は面白かった。ハープシコードを中央に配してだけど、バンドネオンが加わっている。後ほどの解説によるとオルガンの位置づけとのこと。バンドネオン自体はピアノ協奏曲で必須の楽器なので今回参加していると思うけど、四季に加えるとは。弦の音色にうまく溶け込んでいい味を出していた。
また、ソロヴァイオリンがヤンネ舘野さんが務めたわけだけど、聞きなれたイタリアのきらびやかな音色ではなく、フィンランド育ちらしく芯のあるくすんだ落ち着いた音色をしていた。アルカディアフレンズのメンバーもそれにあわせたかのような落ち着いた音色だったように感じた。これはこれですごく新鮮だった。曲の解釈も新しい取り組み方を入れており飽きることがなかった。
ところが、それだけでは終わらない。秋の第二楽章、有名なカデンツアの楽章だけど、通常は弦の和音に載せてハープシコードがアルペジオを奏でる。今日は、なんといつの間に第2バイオリンの方が尺八を持ってカデンツアに加わった。とても面白い。今の季節もちょうど秋に差し掛かろうとしている。日本の秋を想像させる演出だった。

舘野さんのピアノに移る。
なんといってもその音色にはびっくり。これはベーゼンドルファーという楽器のせいもあるのだろうか。図太く、柔らかく、温かい。左手だけから紡ぎだされるその音色は包み込まれるような演奏だった。

最後のピアノ協奏曲は舘野泉左手の文庫(募金)助成作品ということだ。作曲者のパブロ・エスカンデさんの解説がプログラムに載っていた。「アンティポダスとはスペイン語で「地球の裏側」を意味する。この曲ではブエノスアイレスと琵琶湖のほとりという裏側同士を対比させて全5楽章を作った」という。
左手のためのピアノ協奏曲だけど、バンドネオンが活躍するという面白い曲だった。一番印象に残っているのは最後の第5楽章。大好きなエル・チョクロが思いっきりフィーチャーされていてテンションが上がった。

そしてアンコールがバンドネオンとピアノのそれぞれのソロ。

見附市で舘野さんのピアノが聴けるなんて思ってもいなかったのでとても楽しみにしていたのだけど、「ウイズ・アルカディアフレンズ」の部分でも楽しめたコンサートだった。

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