村治佳織の指の故障により12月から延期されていた浜離宮朝日ホール村治佳織スペシャルプロジェクトがいよいよ開かれた。私が聴いたのは3月9日のProgrammeA。「スタイリッシュなフレンチプログラムに渡辺香津美を迎えて」という副題がついている。
このシリーズは村治佳織を中心に4つのプログラムを用意して、4日間浜離宮ホールで行われたものだ。私の聴いた渡辺香津美とのデュオ、チェンバロやリコーダーとのアンサンブル、弦楽四重奏とのアンサンブル、映画音楽など多彩なプログラムを組んでいる。
村治佳織の生演奏を聴くのはこれが初めてだ。プログラムは以下の通り。
- サウダージ(ディアンス)
- 2つの舟歌(クレンジャンス)
- 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル/ディアンス)
- ジムノペディ第1番(サティ/クレンジャンス)
- 亜麻色の髪の乙女(ドビュッシー/マーシャル)
- ギターのための幻想曲(プレヴィル)
- 月の光(ドビュッシー/デ・ラ・マーサ)
- 水色スカラー(吉松隆)
- ドリー組曲(フォーレ)
- 悔いなき美女、フラジャイル(スティング/ミラー)
- シェルブールの雨傘、思い出の夏(ルグラン/バターワース)
前半はソロ、後半は渡辺とのデュオという構成だ。前半の曲はクラシックのフランスの小品をギターアレンジしたものが中心で、真っ赤なドレスで登場した村治が色鮮やかな世界を紡ぎ出していた。
しかし、ホールの影響もあるのかもしれないが、音が小粒で前に出てこない感じがして物足りなさを感じた。曲もダイナミックな曲などはあまりなかったのも要因かもしれない。
それに比べて渡辺とのデュオはアンプを使っていたこともあり、生き生きと音が響いていた。村治もアドリブに挑戦していて、渡辺のノリの良いバッキングに乗って心地よさそうに弾いていた。
これらのデュオだが、皮肉なことに渡辺の抜群のセンスが際だって、村治の演奏はそれに支えられているという感じになってしまっていた。
CDで聴く村治佳織の演奏はかなり骨太でしっかりした演奏というイメージがあったが、少し印象が違ってしまった。
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