12本の弦の響き~クラシックギター・デュオの世界

9月3日(日)、見附市文化ホールアルカディアで開催された「12本の弦の響き~クラシックギター・デュオの世界」を聴いてきました。

見附市でクラシックギターのコンサートが行われること自体が稀なのですが、ギター界をけん引する中堅の人気ギタリストお二人のデュオコンサートという贅沢なイベントでした。

鈴木大介さんはNHK-FMの「クラシックリクエスト」という日曜夜の番組でパーソナリティをやっていらして、身近な存在なのですが、生で演奏を聞くのは実は今日が初めて。

大萩康司さんは新潟市や東京でのコンサートで何回かコンサートを聴いています。20年以上前にデビューした時はまだ20代の初めだったと思いますが、今日の姿はすっかり中堅の落ち着き(もともと落ち着きのある方でしたが)を醸し出していました。

開場と同時に入場したので、始まるまでホワイエでホットコーヒーを。ソフトクッキーがついていました。

愛のロマンス

このようなプログラム。クラシックギターでのおなじみの曲では「愛のロマンス」が弾かれました。1stがオリジナルのソロの演奏(禁じられた遊び)を弾き、2ndがそれに独特な和音のアルペジオを重ねるというアレンジでした。編曲者のG.タラゴという人はアルハンブラ宮殿でおなじみのF.タレガのお弟子さんだそうです。

妻のお気に入りの2曲

家内は1曲目の「主題と変奏」(ブラームス)と、ビートレリアーナスの「エリナー・リグビー」がとても良かったと言っていました。

ブラームスはもともと弦楽六重奏曲の第2楽章として作曲されたのを、ブラームス自身がピアノ独奏曲に編曲し、クララにささげた曲。主題はとてもブラームスらしく、厳かで古風で晴れやか。それが変奏で曲調がしだいに変わっていき、元に戻ってくる。いい曲だと思います。イギリスのギタリストジョン・ウィリアムスが編曲したもの。

↓こちらがジョン・ウィリアムス自身とジュリアンブームが録音した演奏

ペニー・レイン

私のハイライトは何といっても「ペニー・レイン」です。演奏前に鈴木さんがお話されていましたが、今から40年ほど前、ギタリストの鈴木一郎さんという方(本日の鈴木大介さんとは縁もゆかりもない方だそうです)が、作曲者のレオ・ブローウェルとデュオで録音したLPに入っていた曲。

このLPを聴いて心をつかまれた20代の私は、いわゆる耳コピをして採譜しました。それをステージで弾いたことが懐かしく思い出されました。

まさかこの曲を聴けるなんて想像もしていなかったので、この上ない幸せな時間でした。

↓こちらはヨーロッパのギタリストの演奏ですが、こんな曲です。

日本人の曲

休憩を挟んで後半は日本人の二人の作曲家の作品。

まず久石譲の「揺れ動く不安と夢の球体」。ジブリの印象が強い久石さんですが、この曲はミニマル・ミュージックの手法を使った現代音楽。意外でしたが面白かった。

二人目がご存じ武満徹。テレビドラマ「夢千代日記」は初めて聴きました。映画「どですかでん」ははるか昔に見たはずなのですが、音楽はまったく忘れていて、こちらも初めて聴いたような状態。武満さんの大衆音楽はメロディーが親しみやすいですね。

アンコール

最後のピアソラの後、アンコールで2曲弾いてくれました。

まず「椰子の木陰」(アルベニス作曲~リョベート編)。こちらはどこかで聴いたことがある(アルベニスの作品はたくさん聴いているので)気がしましたが、初めて聴く曲だと思います。スペインの情緒たっぷりなゆったりとした音楽でした。

こちらはYouTubeにあったお二人の「椰子の木陰」

最後が映画「ディア・ハンター」の曲「カヴァティーナ」。これは私も弾いたことがありますが通常はギターソロで弾かれます。それをギターデュオで演奏しました。ソロだと簡易的なコードしか鳴らしていない部分をしっかりと響かせて聴かせてくれたばかりでなく、お二人で交代しながら演奏するメロディーの美しい音色にすっかり引き込まれ、コンサートを終えました。

もし願いが叶えば

ピアノのコンサートは見附市でも毎年のように行われますが、クラシックギターはなかなか聴くことができません。今回は三井住友海上の助成公演だったので、破格の安さでこんなに素晴らしいコンサートを聴くことができました。(関係の皆様、どうもありがとうございました。)

今後も時折クラシックギターのコンサートを聴くことができますように。

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