上松美香アルパコンサート

 4月15日紀尾井ホールで上松美香のアルパソロコンサートを聴いた。

 上松美香はDVDやCD、TVなどではよく聴くのだけど、生を聴くのは今回が初めてだ。それもそのはず、東京でコンサートを行うのは充電宣言を挟んで2年ぶりだとのことだ。メキシコやアイルランドなどを旅して十分充電したそうで、それがオリジナルで固めた新アルバムや当日の演奏によく出ていた。

 「風」などを初めとする数々のオリジナル曲はたしかに女性らしい情緒や感性を感じるのだが、私には今ひとつかな。どうもすべて同じ曲に感じてしまう。

 やはりラテンを演奏する上松は大好きだ。鐘つき鳥やラ・ビキーナは何度聞いてもわくわくするし、コーヒールンバは楽しい。「サルー」のDVDは見ていると元気をくれる。そんな上松のアルパが大好きなので、最近のオリジナルで攻めてくる上松は実はちょっと悲しいのだ。

 当日の演奏は、やはりラテンを交えながらオリジナルを中心に構成されていた。ギター、パーカッション、弦楽四重奏などのバックが入って多彩な音色を聴かせてくれたが、中でもパーカッションはすごかった。女性だった奏者の名前は残念ながら覚えていないが、感性あふれる演奏はすばらしかった。パーカッションは理知的な楽器だ。

 紀尾井ホールは新しいのだろうか、まだ木の香りがただよっているとてもウッディーなきれいなホールだった。どこかカザルスホールに雰囲気が似ているような気がした。

 当日いとこの女性に捧げたという曲「生まれゆく時の中で」の演奏で実際にそのいとこが一緒にアルパを演奏したが、声が上松美香と似ているという。「では一言あいさつを」ということでその女性が「みなさんこんばんは」と一言言ったとたん会場内は大爆笑につつまれた。そう、あの舌足らずの上松の話し方に声の質も話し方もそっくりだったのだ。笑えた。

 公演が終わり、ニューオータニの裏手の紀尾井町通りの遅咲きの桜の下を、余韻に浸りながら赤坂見附まで歩いていった。

コメント