熱海って日本でも最も有名な温泉地のひとつだけど、近年は一時の賑わいがなくなってきたと、テレビなどで取り上げられることが多い。今回自分で熱海を体験して少し認識を新たにした。
今年ももう年の瀬が迫っているが、「そういえば今年はどこも温泉にいかなかったなあ」ということで思い立って1泊の温泉旅行にいくこととした。と計画したのが1週間前。お手軽なツアーをいろいろと検索してJRの乗車券と宿泊クーポンがセットになった熱海旅行を申し込んだ。熱海っていつも東海道新幹線の車窓から町並みを眺めていたけど一度もいったことがなかったし、東京駅から電車一本で温泉街まで直行で気楽だし。
東京駅から特急踊り子号に乗り込む。15両編成の15号車で、10号車から15号車は熱海までで残りは下田まで行く。今回のツアーの乗車券はJRの企画型乗車券なので、乗り遅れた場合は無効となる。その代わり格安なのだ。
熱海駅で9号車と10号車が切り離されたところ。
宿はホテルニューアカオ。駅から行くと中心の温泉街を通り過ぎ、ちょっと離れたところにある。切り立った崖に沿うように建てられており、玄関が最上階の17階になっている。ロビーから広がるのは見慣れた熱海の町並みだ。入り江に広がる熱海の温泉街は、温泉ホテルからリゾートマンションなどに替わっているとはいうものの、観光地の代名詞の雰囲気は失われていない。
このホテルは「アカオリゾート公国」と銘打って、ホテルや飲食店、ハーブ園、海水浴場などを展開している。チェックイン後ハーブ・ローズ園に出かけてみた。ホテルからの連絡バスで5分ほどで到着。とても暖かな秋晴れの午後、真っ青な太平洋を望む斜面に、さまざまな庭園が広がっていた。バスで案内を聞きながら最上部まで行き、そこからぶらぶらと花や庭園を見ながら入り口まで降りてくる。12月のはじめなので花は期待していなかったのだが、秋でも咲く薔薇がところどころに見られた。
この写真は巨大な盆栽。1辺が10メートルもあろうかという鉢(?)に松が植えられていた。
ホテルに戻り食事までの間、切り立った岸壁のたもとに作られた露天風呂に浸かり、海を見ながらからだを休めた。熱海温泉のお湯は無色透明でにおいはあまり強くない。風呂嫌いの私だけど(^^;)たまには良いものだ。
食事なのだが、案内された会場に行くとびっくり、一昔前のナイトクラブのような雰囲気を醸し出している。そう言えばショーを見ながら食事とは聞いていたけど。たぶんバブルの頃に建てたホテルなのだろうか。今時めずらしいとは思う。だけど、この写真の左側が巨大なガラス窓になっていて、その外には切り立った断崖の内側が迫ってライトアップされていた。さながら自然の巨大な内庭という様相を呈していて、脱日常を存分に楽しめる。食事はフレンチのコース。ショーはニュージーランドからきたという男2人、女2人のグループで、男声は伴奏を、女性はダンスをしながらクリスマス曲を中心に歌い客を楽しませていた。
と、まあ安いツアーでもあったし、ホテルも新しくはなかったのだけど、ホテルの係員はみんな礼儀正しく親切だったので居心地がよかった。それはハーブ園でも同様で、花の手入れをしている人も「こんにちは」といちいち声をかけてくれ「また来よう」という気持ちにさせてくれる。これは立派だと感心した。
翌日、熱海駅に戻って、帰りの列車までの時間をつぶしたのだが、駅前に広がる土産物店街のにぎわいにはびっくりした。たくさんの観光客が土産物店で買い物を楽しんでいる。温泉の駅でこれだけにぎわっているというのはある意味意外だった。熱海は昔に比べて寂れているという印象を持っていたので、ちょっとほっとした。「頑張ってるな」って感じたりして。
ホテルは設備は古かったけど暖かい対応で居心地がよかったし、駅前の買い物も雰囲気を楽しめたし、ひなびた温泉でのんびりするのもいいけど、このような大きな温泉地で雰囲気に浸るというのも楽しい体験だった。
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