藝大21 ジャズ in 藝大「時の響き」

東京藝術大学構内にある奏楽堂で行われたコンサート、ジャズin藝大を聴いてきました。

奏楽堂というと上野公園の一角にある古い奏楽堂を思い出しますが、今回の奏楽堂は大学の構内にあるとても立派なホールでした。全体に木で作られていて、すごく音が響くホール。パイプオルガンもあったので、今度オルガンのコンサートがあったらぜひ聴いてみたいと思いました。

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ジャズin藝大というイベントは2004年から始まったそうですが、藝大生によるビッグバンド"Manto Vivo(マント・ヴィーヴォ)"を中心にジャズとクラシックの出会いをテーマにしたコンサートです。

プログラム—————————————–

第1部
(Manto Vivoによるジャズ演奏)
ストライク・アップ・ザ・バンド(ガーシュウィン)
イン・ザ・ムード(ガーランド)
ノース・ビーチ・ブレイクダウン(オド)
(トリオ)
コントラスツ(バルトーク)

第2部
(Classic meets Jazz)
エボニー・コンチェルト(ストラヴィンスキー)
プレリュード、フーガとリフ(バーンスタイン)
組曲「くるみ割り人形」(チャイコフスキー~デューク・エリントン編曲)
(アンコール)
ボレロ(ラベル)

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最初のManto Vivoによるジャズ曲では、スイング曲を中心に若々しい演奏を聴かせてくれました。サックスやトロンボーン、トランペット、パーカッションは管打楽器専攻、ピアノはピアノ専攻、ベースは弦楽科、ギターは音楽環境創造科の学生が担当しているようです。それぞれクラシックを勉強しているなかでこのようなジャズ曲もすごくうまいですね。実際、卒業後ジャズの世界に入っていく学生もいるそうです。

バルトークの曲は、バルトークがベニー・グッドマンのために書いたという室内楽曲でクラリネット、ヴァイオリン、ピアノという構成で演奏されました。

ストラヴィンスキーのエボニー・コンチェルトはもう一人のジャズクラリネットの巨人ウディ・ハーマンの依頼で書かれたもので、クラリネット協奏曲の形です。ただオーケストラでなくジャズのフルバンド用の編成で書かれている珍しい曲でした。ストラヴィンスキーっぽくもあり、乾いた前衛ジャズという雰囲気もあります。

バーンスタインの曲はなんか安心して聴けました。彼の音楽はウエストサイト・ストリーでおなじみですが、独特のリズムにのっての最後の盛り上がりは必聴です。

そして最後はチャイコフスキーとデューク・エリントンとの出会い。いずれも有名な曲なのでエリントンの編曲の妙を楽しむことができます。曲によっては、いまいちおかしな響きのものも(こんぺい糖の踊りなど)あったのですが、総じてエリントンはきちんとしたオー消すトレーションを書く人だということが認識できました。とても興味深い演奏で、聴けてよかった。

アンコールはゲストの3人のクラリネット奏者をフィーチャーしてラベルのボレロを演奏。といっても普通のピアニッシモから始まりクライマックスへという構成ではなく、2種類のメロディーをクラリネットとビッグバンドで交互に演奏し合ってフィナーレを迎えるというそれぞれ即興も入れたりして楽しめました。

全体の進行は松下さんという藝大の教授が司会されたのですが、故筑紫哲也さんにそっくり。白い髪はもちろんなのですが、話し方までそっくりでした。

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