『ローエングリン』を観る

二期会オペラ公演『ローエングリン』を観てきました。

オペラを観るのは生涯3回目かな。数十年前に今回と同じく東京文化会館で観た「カルメン」、10数前に新潟県民会館で観た「魔笛」。ワーグナーを観るのは初めてなので、すごく楽しみです。

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■好きな曲ばかり
ワーグナー作曲のこのオペラ、単独の曲としてはたくさんの有名な曲があります。
崇高な「第1幕への前奏曲」、かっこいい「第3幕への前奏曲」、ウェディングでは定番の「結婚行進曲」、吹奏楽での人気曲「エルザの大聖堂への行列」。これらが劇中にどのように演奏されるのかを見るだけでもワクワクしませんか。

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ドイツ国王ハインリヒ:金子宏
白鳥の騎士ローエングリン:小原啓楼
先代領主の娘エルザ:木下美穂子
テルラムント伯爵:小森輝彦
その妻オルトルート(魔女):清水華澄
ローエングリン(青年時代)
王の伝令:加賀清孝
4人のブラバントの貴族:菅野敦、櫻井淳、湯澤直幹、金子慧一
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合唱:二期会合唱団
管弦楽:東京都交響楽団
指揮:準・メルクル
演出:深作健太
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公演は午後2時に始まり、25分ずつの休憩をはさんで全3幕が演奏され、終了するのが午後6時過ぎ。長丁場です。

■会場と席

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東京文化会館は、座席の前列部分がオーケストラピットになり、東京都交響楽団がすっぽりと収まっていました。開演前から団員はピットに入っており、音慣らしをしています。曲中の断片が時折聞こえてきて、雰囲気が出ますね。
ステージ両脇には縦長の電光掲示板が設置してあり、字幕が映し出されます。

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今回の席は4階左側。かなりステージを見下ろします。ステージがよく見えるようにイスの位置は高くなっていて、足元には足置きのパイプが設置されていました。
舞台は見渡せるし、オーケストラピットは見えるし、結構いい席と思います。お値段はかなり安く、一番高い席の3分の1ですし。

■演出
オペラは生涯3回目ということでわかるようにほとんど経験がないわけですが、それでも時折テレビ放送で取り上げられているものを断片的に見たり、解説を聞いたりはしています。演出により部隊の雰囲気がかなり変わるということも承知していました。
今回の「ローエングリン」は、私的には中世の騎士が白鳥で登場するロマン的なイメージでいたので、そんなステージを何とはなしに思い描いていました。
しかし、プログラムを見ると、ワグナーがこの曲を作曲した同時代のバイエルン王国、そしてその国王ルートヴィヒⅡ世がローエングリンになっているという設定。ルートヴィヒⅡ世はワーグナーの信奉者であり、大いなるパトロンであったわけですが、その彼を騎士ローエングリンにして登場させるという演出でした。
プログラムの解説を見ると、過去、ヨーロッパでのこの曲の演出はさまざまな試みがなされてきたようで、中世の騎士とはまったく縁のない現代の学校の教室を舞台にしたものまであるそうな。でもオペラ初心者の私としては、ワーグナーが思い描いたような中世の騎士伝説の世界そのままの舞台を見てみたいな。(でもドイツという国の歴史上、簡単にそのような演出にはならないようなのですね。)

■オルトルート、魔女
登場人物の一人オルトルートは、テルラムント伯爵の妻で、夫をたきつけてエルザを追い込ませたり、それがうまくいかないと、今度はエルザ自身をそそのかして、夫ローエングリンに禁断の問いをさせようとしたり、悪役なわけです。
今回の舞台では負傷した兵士の手当てをする看護婦になったり、眼帯をした魔女になったりしますが、彼女の歌(清水華澄)はそういう魔女的な雰囲気をよく出していたと思います。カーテンコールでもひときわ拍手が大きかったですね。

■名曲たち
第1幕への前奏曲でたちまちローエングリンの世界に入る。舞台演出がどうであろうと、聖なる天上へと通ずるこの曲は伝説の世界へといざなってくれる。
エルザの大聖堂への行列は、オルトルートが中断させるまでとその後、終幕までの2か所に渡って、荘厳な演奏を聴かせてくれました。舞台奥のバンダの効果もあり、本当に聖堂に鳴り響く音楽っていう感じを楽しめました。

ピアノレッスン No.101 『ワグナー/エルザの大聖堂への行列』
吹奏楽のレパートリーとして人気の、ワグナーの「エルザの大聖堂への行列」(「ローエングリン」より)をピアノで弾きました。今年の正月、妹尾さんという方のYouTubeでの演奏を聴いて自分でも弾きたくなり、採譜することから始めて1年がかりでやっと...

第3幕への前奏曲、いいねえ。
結婚行進曲、テンポ速めで軽快な感じ?禁断の問いが背景にあるので、そんなに浮かれてはいられないということでしょうか。
グラール語り、はローエングリンが自分の素性を明かすくだりです。私は初めて知ったのですが、第1幕への前奏曲のモチーフがここで歌われるのですね。感動的でした。

■ゴットフリート
舞台の初めから終わりまでずっとステージ上に出演している少年がいました。歌はうたいません。みんなの行動や言動を見入ったり、物を手に取ったり、妖精のような幽霊のような不思議な存在でした。3幕の最後に白鳥からよみがえったエルザの弟ゴットフリートが彼だったということがわかりました。これは一般的な演出なのでしょうか。なんとなく演出者深作健太の分身のような感じがします。

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終演後外に出ると6時半、暗くなっています。
これから少しずつオペラにも接していこうかと思います。

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