スウィングガールズ

日比谷みゆき座で「スウィングガールズ」を見た。
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みゆき座は始めて入ったが歴史のある映画館だ。「カッコーの巣の上で」などのヒットの中心にもなった映画館だ。しかし昨今のシネコンの流れには勝てずにまもなく姿を消すという。館内は(シネコンではない)昔ながらの雰囲気がただよっている。
さて、本題のスウィングガールズだが、山形の高校が舞台で、ビッグバンドジャズの演奏の楽しさに芽生えた落ちこぼれ女子高生達が夢を叶えるまでの軌跡をコメディー風に描いた映画だ。
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大林宣彦監督の「青春デンデケデケデケ」とストーリーも雰囲気も似ている。演出がコメディータッチなのもそうだが、そもそもストーリーが、演奏する楽しさに目覚める→楽器を買うためにアルバイトする→練習場所に困る→上達していく→認められる、といった流れをたどって進んでいくのが同じだ。大林作品はこれにノスタルジックな味付けをほどこして独特の世界を築いているが、スウィングガールズの矢口監督は明るい青春映画にしたてた。
それにしても何回も涙を流してしまった。「音楽は時間を引き戻す」で書いたように、こういう状況は30年くらい前に自分を引き戻してしまうのだ。始めてスウィングの楽しさに気が付いてなんとかして自分たちで演奏したいといろいろ努力する。メンバー全員で気持ちを合わせて1曲仕上げる。発表の場で練習の成果を出し夢中で演奏する。こんな状況に思わず感情移入してしまう。
そしてそれぞれA列車で行こう、シング・シング・シング、イン・ザ・ムードなおおなじみの曲が演奏されるからたまったものではない。
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プログラムによると映画での演奏は実際に彼女たちの演奏だという。にわかには信じられない気がする。いくら特訓をしたからと言って、短い期間であそこまでうまくなれるのだろうか。トロンボーンの元仮屋ユイカの口元を見るときりっとしていて、確かに的確に音を出していると想像させる。トランペットの貫地谷しほりもそうだ口元がしっかりしている。かなりズームして撮しているのでよくわかるのだ。
もしホントに彼女らの本物の演奏だけだとしたら指導者なのだろう。半年で初心者をこれだけの演奏に持って行くのは並大抵ではない。山口れお、倉田俊太郎の2名にメンバーのみんながついていった成果なのだと思う。それほど素晴らしい演奏だ。
それと、最後の演奏会のシーンでは東北の本物の高校生達の吹奏楽団のステージ演奏が何曲か撮された。吹奏楽に関わるいろいろな人たちにこの映画を楽しんでもらいたいと感じた。

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