Tジョイ長岡で映画『ファーザー』を見てきた。
羊たちの沈黙で身も凍るような役を演じたアンソニー・ホプキンスが、この映画では認知症の父親役を演じている。
役名も「アンソニー」で現実と映画の中と混とんとしてくるようだった。
混とんとすると言えば、この映画、認知症の父親の視点から記憶が混とんとしていく様を映し出している。時には時間を遡ったり繰り返したりしながら幻影と現実とが交錯してストーリーは進んでいく手法。
でも私的には映画の内容よりも音楽に気持ちを惹かれた。
アンソニーはヘッドホンで音楽を聴くことが好きなようだ。曲名は分からなかったけどリズムが特徴的なバロック曲が流れている。娘が父親の部屋を訪れ、ヘッドホンで音楽を聴いている父親に声をかける。父親はヘッドホンを外すと、流れていた音楽も止まる。そうだ、父親はこの曲をヘッドホンで聴いていたのかとわかる。(後で調べたらヘンリー・パーセルの通称「コールド・ソング」と呼ばれている曲だそうだ。)
オリジナルサウンドトラックの曲以外に、このように使われている楽曲がたくさん流れてきた。中でも印象的に使われていたのはビゼーの「真珠採り」で、アンソニーの心情を効果的に暗示していたと思う。
コメント