人生を<半分>降りる

『人生を<半分>降りる』という書名を見て、まさに現在の自分の状態のことだと思って手に取った。

20070706hannbun01

だけど、サブタイトルに『哲学的生き方のすすめ』と書いてある。

序章のタイトルは「あなたはまもなく死んでしまう」でわかるように、「もうすぐ死ぬというときにあなたは何をしますか?」という問いかけから始まっている。

それは「自分のこと」のために時間を費やすべきだろうという当然の帰結となる。著者の場合はほんとうの哲学を探究したいということとなる。

この本は私にとっていくつかの点で興味を持って読むことができた。

・人生を<半分>降りるというスタイル
「50になったら半隠匿に入る」という考え方だけど、まさに今の自分の生活そのものだ。組織でどんなに要職についていようと、自分がいなくなれば必ず誰かがやってくれる、というのはまさにそうだと思う。そんなものは他人に譲って、もっと自分のことに時間を費やそう。今、あと50年どんなことをしようかなとワクワクしている。

・哲学について
ふだん哲学について触れることはめったにない、というか「哲学」そのものが何なのかよくわかっていなかったりする。この本では哲学について実際はどうあるべきなのかということを非常に辛口の論理で説いている。一番心に残ったのは次の言葉に表される考えだ。「カントを哲学するとは、カントの言葉について『論じる』ことではなく、カントの言葉を『生きる』ということ」 つまり「言うことと生活」がかけ離れているような恥ずかしいことがあまりにもまかりとおっている、ということが多い。ちょっと哲学が身近に感じられた。

・その他もろもろ
「批判精神」のすすめ、「懐疑精神」のすすめ、「自己中心主義」のすすめ、「世間と妥協しないこと」のすすめ、という章立てでこの本は進んでいく。非常におもしろい。著者はこれで本当に生きて行けてるの?と心配になるくらい辛辣だ。だけど言っていることはいちいち大きくうなずくほどもっともだ。例を挙げるときりがないのだが、例えば「世間が許さないよ」と言われることがあるが、実は「私が許さないよ」と言い換えてほぼ間違いない、というようなことだ。

このように「しがらみ」を半分捨てて、人生の後半は本当に自分のために時間を費やそうという主旨のこの本、バイブルになりそうだ。

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