『大澤美穂』ピアノリサイタル

11月16日、千駄ヶ谷駅前の津田ホールで大澤美穂さんのピアノリサイタルを聴いた。

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大澤さんはミクシーで縁がありマイミクになっていただいている。とても優しい印象の方だ。

大澤美穂オフィシャルサイト
http://miho-osawa.com/

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プログラムは前半がファーストCDからシューマンの3曲、後半がドビュッシー、スクリャービンという構成だ。

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開演25分前に会場に入った。今回のコンサートは全席自由席となっている。ざっと会場を見渡すとお客さんはかなり左側に片寄っている。やはりみなさん鍵盤が見える位置がいいのかな。私は中央付近に席を取った。

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今宵の演奏はベヒシュタインのフルコンサートピアノが使用されるのも特徴となっている。スタインウェー、ベーゼンドルファーと並ぶ世界三大ピアノメーカーのひとつ。リストやドビュッシーが絶賛したと伝えられている。

大澤さんは白いドレスで登場。シューマンのアラベスクでリサイタルを開始した。まだピアノを聴き始めて間もないのであれこれと比較したわけではないのだけど、とても太くて丸い響きのように感じた。メロディーが際だって歌うように聞こえてきて、シューマンの誠実な音楽の世界が暖かく表現されていたと思う。

プログラムには大澤さん自身の曲に対する想いが綴られていて興味深い。例えば子供の情景全13曲に各曲の印象が添えられている。

2.珍しいお話:目を輝かせて話に聞き入る子供達の弾む心が伝わってくるようです。
10.むきになって:時に大人から見ると微笑ましいくらい真面目な子供の様子が描かれています。

これらを読みながら演奏を聴いていると本当に目の前に子供達のいろいろな表情の情景がうかんでくるようだった。

後半は黒いドレス(とても都会的でドビュッシー、スクリャービンにぴったり!)で登場。

ドビュッシーではシューマンからは一転して速い動きが中心のぐいぐいとひっぱるような大胆な表現が聴かれた。速いパッセージの中にもやはりメロディーを大切に歌う演奏は忘れていなかったと思う。

それはスクリャービンでも同様だった。スクリャービンのピアノ曲は初めて聴いたのだけど、ロマン派と現代の間を揺れ動いているような形式の中にも人間くささを感じるような印象を受けた。特にピアノソナタ3番の第3楽章は作曲者自身が『星が歌う』と呼んでいたということだけど、すごく美しい演奏だった。

大澤さんは自身のブログでリサイタル直前に書家と話す機会がありリサイタルでは「無心」で演奏できたらと書いている(ミクシーの日記にはそれに対して「頭が真っ白になる」なんてちゃちゃを入れちゃったけど)。「無心」から出てきたのがこれらのベヒシュタインの音色を活かした丸い骨太の骨格に支えられた暖かな音楽だったのではないだろうか。

白いドレス、黒いドレスも素敵だったけど、演奏前後の笑顔が大澤さんの魅力のすべてを表していると思った。

私が大好きなグリーグの叙情小曲集やホルベルク組曲を大澤さんの演奏で聴いてみたいな。

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