古代史ビューア『麻呂』

昨年から古代日本史の講座を受講しています。見附市の学びの駅ふぁみりあで月2回開催されている連続講座で、もう数年間も続いている息の長い講座です。

講師の関根先生は長岡市でまちの駅「古事記COM」を主宰されていて、長年個人で研究を行われています。その研究スタイルは、通説にとらわれず徹底的に原典を分析する形です。
この講座でも日本史講座には珍しくパソコン持ち込みを推奨していて、先生が整備された古事記や日本書紀などの原典をテキストファイルに落としたものをエディタで検索していくことで、ある事実や人物を浮かび上がらせていく手法をとっています。

昨年末、ひょんなことから私が元プログラマだったことが話題になり、もっと使いやすいソフトを作ることができないかやってみることになりました。その結果、3月3日にリリースしたのが「古代史ビューア『麻呂』Ver.1.0」です。


これが『麻呂』の画面です。上部にタブが並んでいますが、古事記、日本書紀、続日本紀、養老令、懐風藻、萬葉集といった名前が並んでいます。これらをクリックすることにより、各文献を切り替えながら閲覧できます。


画面右上には検索関連の操作部があります。検索する文字列は正規表現をサポートしていますので、同じ人物でも出現箇所によって表記が変わっているものなどは、それに応じた表現をいれれば同一人物として検索できます。また、黄色い長方形に縦線が並んでいる部分がありますが、その語句が文書中のどこに出現しているのかをビジュアルに示しています。続日本紀などは年代順に記述されていますので、特定の語句が頻出する時期、まったく使われない時期などがすぐにわかり、その語句に関する時期による扱われ方の変遷などを読み取る助けになります。
そして、講座で取り上げる語句を関根先生があらかじめテーマ毎にまとめて登録しておいたものが「カスタム語句」という画面になります。上の画面でいうと「石上麻呂の事績」というテーマで、関連する人物や物、地名などが適切な正規表現で登録してあり、これらを実際に検索しながら講座を聴いたり、あるいは今後はWebや書籍などで発表された場合、それらを読みながら検索したりすることにより、自分で確かめながら歴史を解き明かしていくことができるようになります。


ちなみに、3月3日がVersion1のリリース日なのですが、先生の重要な研究テーマ「石上(いそのかみ)麻呂」の亡くなった日にあたります。

コメント

  1. 大町阿礼 より:

    WEB小説「北円堂の秘密」が今夏の隠れたベストセラーと知ってますか。
    グーグルで「北円堂の秘密」と検索するとヒットするので無料で読めます。
    世界遺産・古都奈良の興福寺・北円堂を知らずして日本の歴史は語れないと云われています。
    日本文化発祥地の鍵を握る小説なのでご一読をお薦めします。
    少し日本史レベルが高いので難しいでしょうが歴史好きの方に尋ねるなどすれば理解が進むでしょう。
    今秋、東博では「運慶展」が開催されるが、出陳品の無著・世親像を収蔵するのが興福寺・北円堂である。
    貴職におかれてもホットな話題を知っておくことは仕事に少なからず役立つでしょう。
    先ずはブログ主様ご本人からベストセラー小説「北円堂の秘密」の読破をされては如何だろうか。
    読めば日本史のミラクルワールド全開です。

  2. ブライアン より:

    コメントありがとうございます。早速見させていただきます。