DVDで2004年の映画「五線譜のラブレター」(原題:DE-LOVELY)を見ました。
この映画は1930,40年代に活躍したアメリカの作曲家コール・ポーターの伝記の形式をとった音楽映画(ミュージカル映画と言っても間違いではないかも)です。
コールポーターは「ナイト・アンド・デイ」「ビギン・ザ・ビギン」などが有名(というか私はそれくらいしか知りませんでした)ですが、彼の曲が全編にあふれています。
映画は年老いて車いすでピアノをつま弾くコール・ポーターの元へ演出家が現れるところから始まり、彼の半生をミュージカルにしたてていくという形で進みます。映画のシーンの進め方は非常に凝っていて、半生のミュージカルと回想シーンを行ったり来たりしながら、また回想シーンもリハーサルシーンから本番シーンへとシームレスに移行していく手法が随所に入っていてとてもテンポよくストーリーを追っていけました。
ポーターの妻リンダ役のアシュレイ・ジャッドがとてもチャーミングで引き込まれました。若い頃のオードリーヘップバーンやシャーリー・マクレーンを彷彿とさせる笑顔です。
この映画はコール・ポーターの音楽が主役でもあり、実際の歌手たちがとても魅力的な歌を披露しています。
ロビー・ウィリアムスの歌う”It’s De-Lovely”
エルビス・コステロの歌う”Let’s Misbehave”
ダイアナ・クラールの歌う”Just one of those things”
シェリル・クロウの歌う「ビギン・ザ・ビギン」
いずれの歌もとても魅力的なんですが、特にシェリル・クロウの「ビギン・ザ・ビギン」にはびっくりしました。ビギン・ザ・ビギンというとフレオ・イグレシアスの歌を思い浮かべるのですが、シェリル・クロウの歌はなんと短調のメロディーにけだるいボサノバ調のアレンジがほどこしてありました。最初は「何の曲だろう?」って思って聴き始めたのですがまぎれもなくあのビギン・ザ・ビギンでした。
映画のシーンとしてはコールとリンダの気持ちの行き違いが表面化するあたりで歌われているのでまさに切ない気持ちと現実との葛藤が表出した出色のビギン・ザ・ビギンです。
話は飛びますがビギン・ザ・ビギンと言えば映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の中でルベーン・ゴンザレスがピアノ・ソロで子供たちの体操練習のバックで弾いていたこの曲がとても印象的でした。(自分でもピアノで弾きたいと強く思っています)
ナタリー・コールの歌う”Everytime we say goodby”
もちろんナタリー・コールもグッドでしたよ。CDで聞き慣れた彼女のつややかな声を映像を見ながら聴けたのは幸せでした。
アラニス・モリセットの歌う”Let’s do it”
ジョン・バローマンの歌う「ナイト・アンド・デイ」
それからやはりこの曲「ナイト・アンド・デイ」は外せません。ミュージカルのリハーサルシーンでジョン・バローマン(彼は歌手でなく俳優かな)が「この曲はとても高音から低音に移り変わり自分には歌いこなせない」とさじを投げるのですが、コール・ポーターが彼と向かい合って「歌詞に意識を集中しなさい。私の目を見て恋する気持ちで」と先導して見事に歌い上げていきます。
音楽映画はいいですね。昔で言うと「ベニー・グッドマン物語」「グレン・ミラー物語」「五つの銅貨」など、最近では「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」などみんな思い出に残るようなものばかりです。日本でも「青春デンデケデケデケ」「スイング・ガールズ」など大好きです。
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